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パッションレコーズの秘蔵っ子、HOGO地球のニューアルバム「HOCKEY」に関する事情聴取

interview / 今泉K



(左から)だらり(Gt/Vo)、星野雀(Dr/Vo)



2024年8月16日。台風(アンピル)が都内を直撃している真っ只中、HOGO地球の2人と彼らのレーベル・オーナーの高橋元希さんと待ち合わせる。

新宿駅の南口は自分が思っていた景色と全然違って迷ったが、なんとか無事合流できた。インタビューの為静かな店を探すが、「台風来てるしどこも人なんかいないっしょ!」の一声でバーミヤン新宿西口大ガード店へ。


インタビューの為に彼らの新譜「HOCKEY」を一足早く聴かせてもらっていた僕は音源の感想を早く伝えたいし、聞きたいこともたくさんあるしでワクワクしながら黒霧島のボトルと人数分のドリンクバーを注文した。


後から読むと後半になっていくほど酒が入って全員深くなっていくインタビューになっている。彼らの人間性はかなり音楽とも密接なので、是非とも彼らのニューアルバム「HOCKEY」を聴きながらこのインタビューを読んでみて欲しい。




最新作「HOCKEY」ジャケット画像


誰からも頼まれてない自主のリリースで死にそうになる

-じゃあやりますか!

星野雀(以下、雀)お願いしまーす

だらり(以下、だ)お願いしまーす、これどこに載るんですか?

高橋元希(以下、げ)SUGAR FACTORY Xのホームページ

だ:いちばん嬉しいすね

雀:最高だ

-SUGAR FACTORY Xのホームページでいいんですか?笑

だ:(SUGAR FACTORY Xと)関係ないバンドの、、

全員:笑

-じゃあ始めますね!まず自己紹介からいきますか

雀:HOGO地球のドラムの星野雀です

だ:副リーダーのだらりです

雀:悪い奴だ、、

全員:笑

-今2人なんでしょ?

雀:今2人です

だ:ベースはサポートです

-入れようみたいなのは?

雀:ないっす

-ない!もうないことになったんだ

雀:もうやめようと。2人でいることの気楽さが

-あー結局ね

だ:ただライブ演奏は絶対3人でやろうって

-サポートは絶対入れるんだ?

だ:っていう、住み分けになんとなく落ち着きました

雀:でもそうなってから、今年は比較的うまく回ってる

-ライブの本数最近増えた?

だ&雀:激減!

-激減!?でも結構意外とやってるでしょ

雀:月1、2で

だ:日々を大切にしてます

-去年忙しくて死んだ?

だ:あんまり面白くなかったんで、やめようって笑

-今年はもう、制作とライブと、ただ休むみたいな?

雀:でもそんな休んでないよね

だ:ずっと音源も作ってるから

雀:ずーっとひいひい言いながら

-めちゃめちゃ作ってるもんね

雀:そうなんですよ

-いつもパッションで出すのと自主で出すので分かれてるのって住み分けとかがあるの?

だ:簡単です。パッションのは真面目にやる。それ以外は

雀:気楽にやる

全員:笑

雀:この前レコーディングの日程を精査してたら、全部誰からも頼まれてない日程だった笑 誰からも頼まれてないタスクを5つぐらい抱えて

だ:死にそうになって

雀:二人でイライラして

だ:「チクショーふざけんなよ」とか言って

雀:別に俺らのさじ掛けてどうとでもなるんだけどなって

-そうだよね笑 自主リリースの方で追い詰められて?

だ:死んでます 

雀:間に合わねえぞこれって言って

だ:おいどうすんだよって

-いつもポケットから出してくるぐらいのやつが笑

だ:あれで今死んでます、「また出来ました」のやつで



宇宙に飛び出す星野雀。縁起良し


前作までは3部作。本作はオルタナを意識

-今回タイトルの「HOCKEY」の意味って何かありますか?

だ:可愛い響きがあったので

雀:あとなんか単語一つにしたい

だ:ちょっとオルタナっぽいアルバムにしようと思ったんで、関係ない感じで

-オルタナっぽいもんね雰囲気が

だ:意図的にそうしました

雀:イメージ的にREMの「MONSTER」ってアルバムがREMの中でもすげえ『ロックだ』みたいな評価で、そういう感じがいいなって

-「ちょっとオラついてるな今回」みたいな?

だ:初耳だ

雀:で、タイトル全く関係ない一単語みたいなのがいいなって

-誰が思いついたの?

雀:2人で練習から帰ってる途中?

だ:オオヤ(オオヤライ:HOGO地球サポートベース/Juice-box)とライブした帰り。に、すごい楽しくて

雀:「タイトルどうする?」って

だ:出まかせで「ホッケー」でいこうぜとかって。意味はないですね

-オオヤ君も居たの?

だ:いや、オオヤとはバイバイしたあとに

-なるほどね。今回はアートワークが大橋裕之さんからキクリンさん(zo-sun park)になったけど、これはなんか心境の変化とかあった?

だ:まさに。アルバム3枚一区切りで次に行く感じにしたかったんで、3個やったから次からはちょっと中身も変えてジャケも変えてみたいにしようって。

  3枚目までは弾き語りでもできるような、エレカシみたいだなって感じが。そういうフォーキーなのが3枚出てもう飽き飽きだったんで、ちょっとそういうのを封印してアルバムを作ろうってなった時に

  ジャケも大橋さんじゃない方が「変わった!」って感じがすると思ったんで。それはそれで、今までのも映えるしいいかなと

-なるほどなるほど。キクリンさんにしたのは彼が描いてる物を見て、良いなーみたいな?

雀:そうですね。頼んだら2つ返事で、「やりたい。良いよ」って言ってくれて、最初に「動物がホッケーユニフォーム着て2匹立ってる感じのがいい」って言ったらその日の夕方にもうあれが来て

-一発で完成版が来たの?すごい

雀:「とりあえずこんなんでどうかな?」って。じゃあこれでお願いしますって

だ:音まだできてない時だよね

雀:完成してない。何も聴かせてない



無力無善寺にて何もしないだらり


6枚目の構想はある。5枚目はない

-じゃあもう「HOCKEY」ってキーワードだけで完全に理解してくれたんだ。すごいね

だ:zo-sun parkは本当に天才集団。動物化した俺らを描いてくださいって

-なるほどね。それはこっちでオーダーしたんだ?

雀:でもそれだけっすよ

だ:今言ったのが全てです

-それで作ってくれたんだ、めっちゃいいね。じゃあここから3作ぐらいは彼にお願いしようかなって?

だ:どうすかね

雀:それもわかんないよな

だ:6枚目は俺の中で見えてるから

-今4枚目だよね?笑

だ:5枚目は何にも考えてないけど

-5枚目は何も考えてないけど6枚目のアイデアはあるの?なんでよ笑

全員:笑

だ:嵐の「Time」っていうCDのパロディを一人でやることにしたんで

-それが6枚目なの?なるほどね、じゃあ6枚目ってところにこだわりがあるんだ

だ:なんかターム的に。でも5枚目のこと何にも決まってないです

雀:5枚目は難航してますね

だ:やばいよね

雀:5は難航してる。代表曲がない

だ:あんまり良くない

全員:笑

-今回のアルバムは結構2人になってからかその前ぐらいの時期から「なんかめっちゃいいな」みたいな曲が全部入った感じがしてすごくいいですね

だ:でも結構必死だったっす

雀:曲選定の期間は長かった。1年ぐらい開いたんです。今までは結構ポンポコやってたんで

-そんなに制作に時間かかってなかった?

雀:そうです。アルバム録り終わったタイミングで次の選曲に入ってみたいな感じだったんで「すぐ出そう!」みたいなのが3枚目までで

だ:なんか今回余裕あった?

雀:別に意図したわけじゃないんですけど

だ:知らず知らずのうちにね。それで、ちょくちょく出してるやつで良かったやつは全部入れようと



悲しい顔で「さわやか」のハンバーグを見つめる星野雀


(2曲目:ベーコンランチについて)焼いたベーコンに醤油かけてベーコンランチみたいな、そういう最悪な朝飯って感じ

-めちゃめちゃ良かった。なんかちょっと近年のHOGO地球のベストアルバムに近いような雰囲気ですげぇ良かったんだけど

雀:ありがたいす

-「これなんなん?」て思ったのが、1曲目星野くんが「ランチ」っていう曲を作って、2曲目にだらり「ベーコンランチ」

全員:笑

-これはなに?奇跡なの?

だ:悪意です

雀:2曲目は「ランチ」ができてから、それに続く2曲目っていうので

-かぶせてきた?

だ:それぐらいでしか言葉が出てこない

-「ベーコンランチ」ってなに?

全員:笑

だ:それは僕も作ってから考えました

雀:チャーハンでしょ?チャーハンの歌じゃないの?

-あ、チャーハンなんだ

だ:焼いたベーコンに醤油かけてベーコンランチみたいな、そういう最悪な朝飯って感じ

雀:朝飯?

だ:昼飯か。ランチだもんね。そういう手抜き飯の歌です

-なるほど笑 でも歌詞トータルでなんだけど、だらり曲は他者の存在が結構出てくるよね、彼女とか友達とか。

雀:あーわかります。

-星野曲はほぼ出てこない

だ:本当にもう、インナーワールドだね笑

-一曲だけ「夏なのに」には出てくるんだけどこれは「敵」なんだよね

全員:笑

雀:しかも仮想敵

だ:具体的にはいない

雀:だから別に一人です

だ:おしまいだ

-すごいなと思った。そのバランスがいいなと思って

だ:言われるまで気づかなかった

-すごいよ。ベーコンランチは「二人分ランチ作って」みたいな生活のワンシーンで結構いいじゃん。見方によっては結構「そういう幸せもありだよね」みたいな雰囲気にも受け取れる中、

 次の曲「ベッドタウン」でかい空き家が家になる!

全員:笑

だ:星野、風の目線になってる笑

-すごいよなぁと思って

雀:これただの僕の最近あった出来事の話で。実家の横が、俺が物心ついてからずっと空き家だったんですよ。空き家というか空き地で、めっちゃ広くて。そこが家になっちゃって「また人増えるんか」みたいな

-背中に両手を置いてるよね笑

雀:前かがみで笑

-すごいね、この一人ぼっち感が。ベッドタウン、めっちゃ好きなんだけど、この「思い出が消えちゃいそうだ」みたいな「全部消えちゃいそうだ」みたいなのが終わって、次の曲で「玉の輿に乗りたい」が始まる。すげーなって笑

だ:整合性がまったく取れてない笑

-めちゃめちゃいいよ。この雑感というか、さっきまでそう考えてたのに、次は「玉の輿乗りたい」みたいな。2人のバランスがすごく良くて、なそちゃん(ささきなそ/イラストレーター)が前、HOGO地球を藤子不二雄の2人に例えてたの見たんだけど

だ:トッシーさん(RUNRUNRUNS)が会う度言ってたやつだ

-あれ本当にそうだなっていう。しっくりきてる

だ:まんが道の話ですよね。まだ読んでない

-だらり曲はあっけらかんとしてて切なくって、ちょっと藤子F不二雄感で、星野曲はこう、黒くてモヤモヤしたものを抱えて、時々ハッとするような言い回しが出てくる。藤子不二雄A感。

全員:笑

だ:マジな話するとここ3年くらいずっと人と住んでるんで、自分の部屋がなくて。ずっと隣に人が寝てるのがこれからも続く

-それでいいことも曲になるし、「ふざけんな」みたいなのも曲になるし

だ:確かにそれは大きいかもしれないですね

-でもそうするとやっぱり外を散歩して「ここ家になったんだな」っていう機会はあんまないわけないじゃん?

だ:意外にないかもしれないですね笑



対照的な歌詞を書くふたり


星野曲とだらり曲、歌詞の対比について

-だからどっちもすごくいいんだよね。時間の使い方というか過ごし方が対照的で、めちゃくちゃいい。それと星野君が起きてる時間がこのアルバム聴くとわかるっていう。2曲言ってるからね、「6時半に起きる」っていう。「マネー」で6時半に起きて、着替え済ましてって言ってて、他にもあるんだよ。6時半に起きるの、どれだっけ?あ、「ゲベ」。

だ:ゲベ笑

-行けたら6時半に出れます笑

全員:笑

-めちゃくちゃ6時半に起きるの辛いんだろうな

だ:本当に嫌なんだろうな

雀:当時の職場がかなり辛かった。コールセンターの仕事だったんすけど。

-やっぱ6時半に起きてた?

雀:本当は6時に起きて余裕を持って出ないといけないんですけど、仕事が嫌で起きれなくて。最後の方は6時半に起きてゆっくり支度して7時に、実家なんでとりあえず仕事行くふりして家出て、8時間放浪して帰るとかしてました。

-なるほどね。そこで「ここ家になったんだなー」とか出てきたわけだ

全員:笑

だ:リストラパパだもんね、やってることがね。ベッドタウンは今回の肝ですね

-いや肝がいっぱいあるのよ。「彼と彼女」もめちゃくちゃいいし

雀:めっちゃいい曲ですよ

だ:あれはうまくいった方ですね

-「彼と彼女」は絶対にだらり曲じゃん

だ:100%俺。間違いない。まず(星野曲には)女性が一切出てこないもん

雀:俺は彼女とかいないから

だ:絶対に出てこないもん

-このだらり節というか「なんか変なの持つ」みたいなのがやっぱいいよね。

シリアスっぽいフレーズ入れながらもちょっとふざけるみたいな。めちゃくちゃいい。それでここにデモも入れるのがやばいよね!デモはアルバムに入るの?

だ&雀:入ります

だ:デモという名の嘘デモ?

雀:一番最後に作った

-なるほど、インタールード的な感じでね。でもこれもめっちゃ良かった

だ:玉の輿の歌(湯たんぽ)と「彼と彼女」の繋がりが悪すぎて。1回ちょっと関係ないところ挟んでっていう。それでデモじゃないです笑

雀:めちゃくちゃちゃんと録音してる笑

-いやこのデモだったらすげーなと思って

だ:普通の嘘

-こうやって作ってんだと思った

雀:超嘘

だ:ふたりで曲なんて作ってないから

雀:うまくいかないから、ふたりで曲作っても。ふざけちゃうから、ふたりして

-ふたりでは作んないんだ

だ:全然作んないっす

雀:なんかふざけちゃう。多分照れくさいんだろうね

だ:あんまり良くない。今回もボツった

雀:めっちゃボツった

-それはふたりでやって?

だ:そうです。録音もしてミックスまで終わったけど、順番で並べてみて外したとか。「全然ダメだコレ」って

-そうなんだ。一応チャレンジはしてるの?

雀:やらざるを得なかったって感じですかね笑 3月にふたりになって、その直後に録音だったんで「3人じゃないならもうできないな」っていう曲も結構あったんで、「じゃあ急いで曲の弾数増やさねえと」って、急いで3曲ぐらい作ったんですよ。2人で。で、結局2曲ボツったよね?

だ:うん全然ダメだった

-全然ダメだったの?笑

だ:全然ダメでした

-じゃあ3曲作って1曲生きたの?

雀:1曲、最後の曲(わかったわかった)が

だ:これは2人で書いてる唯一の生き残り

-なるほどね

だ:でもこれも作曲って言わないよね?

雀:作曲って言わないっす

-なんでなんで笑 どっちかが作ったの?

雀:俺がだらりにLINEでThe Pixiesの”Here Comes Your Man”送って「これのサビ日本語の歌詞で作って」って

-まんま出てきたんだ?

だ:っていうのが送られてきたんで、iPadでその曲流しながら「わかったわかった~」って吹き込んで

雀:で、(LINEの返信で音源が)返ってきて「ええやん!」ってなりました。

それから、Aメロの歌を鼻歌で歌ってもう一回送って

だ:鼻歌の部分の歌詞をバーって作って完成。15分くらいでLINEで出来ました

-すごいね!そうやって作ってるんだ

だ:「これ作曲って言わないからやめようよ」ってなったんでもうやらないっす

-でも結果アルバムに入るような曲ができるんだからすごいよ

雀:あれは結構上手くいった稀有な例よね

だ:もう無い

-あれも完全にオマージュだなと思って

だ:だってオケがまず一緒なんすよね、そもそも原曲のオケを聴いて吹き込んでるやつでレコーディングしてる

-めっちゃメモってきたもん、「わかったわかった:The PixiesのHere Comes Your Man」からの引用笑

げ:シンマ君(VINCE ;NT,SAGOSAID,STUDIO REIMEI/今回音源のレコーディング、マスタリングを担当)が言ってたもんね

雀:シンマさんがマスタリングの時、「前回もなんかPixiesやってましたよね」って

-結構今回別のところからもオマージュが入ってる?

雀:作った段階ではめっちゃ入れてましたよ

-ベッドタウンはグライダー(Theピーズ)?

雀:ベッドタウンはMedicineっていうシューゲイザーのバンドのTime Babyだっけ?なんか跳ねててぐちゃぐちゃってした曲が1曲あって、そういうノリでやりたいなって

だ:全体で言ったらあれだよな、Sloanみたいな

雀:SloanとMatthew Sweet

だ:奥田民生

-あー、なるほどね

だ:その辺を星野にやってって言って返ってきたのが「ランチ」とかで、そこからこのアルバムのコンセプトがはっきりして、その過程で「遊ぶ予定」とかそういう既存曲のポップのやつは全没になって

-なるほどね

だ:こういうの入れてたら普段通りになっちゃうから

-「遊ぶ予定」はまだアルバムに入ってないんだ

だ:7ぐらいで入る

-7?5枚目何も決まってないのに5枚目に入れる気はないんだ笑

だ:7ぐらいで

-今回オルタナがテーマになったのは「ランチ」があったから?

だ:「ランチ」と「マネー」っていう2曲だけがあって、他は後から作ってます

雀:「ランチ」が一番最初にできたんだよね。ランチとマネーが同時期ぐらいに、去年の1月ぐらいにできて。

-それ主体のアルバムにしたいなと?

だ:完全にそうで、使ってなかった楽曲とかから合うやつを引っ張ってきて新しく作って。でも今回、僕は「ベーコンランチ」しか新しく作ってないです。他は蔵出しばっかりです

-そうなんだ。録ってるのは全部星野くんがドラム叩いてる?

雀:そうです

-ギターは弾いてない?

雀:ギターは「わかったわかった」のリードを弾いたくらい



嵐の理想のセトリを小さい頃から組んでいるだらり


(「彼と彼女」について)やっとああいう曲を5曲目ぐらいに持っていけるぐらいの展開を作れた

-ベースはどっちが弾いてるの?

だ:全部俺

-そうなんだ!ベースいないのにベースラインいいなって思って

雀:(だらりは)元々ベーシストだったから

-そっか!星野くんの曲もベースラインはだらりくんが考えてるの?

だ:口出しされながらその場でやってくみたいな

雀:マジでレコーディングするまで何も決めないで入るんで

-当日に「なるほど、この曲アレンジこうなるんだ」みたいな?

雀:「そこはもっとこういうニュアンスにしてほしい」みたいなのをお互い言って

だ:何にも用意しない。時間だけ守って

-ベースラインさすがだね

雀:ベースライン最後に録るからね

だ:全部終わってから。ポールもそうだよね

-それ聞いたことあるわ。「彼と彼女」とかもベースいないのにベースラインめっちゃかっこいい

だ:あれはいいよね

雀:「彼と彼女」はレコーディングの最終日に録ったんですけど、その日だらりのベースが反っちゃってて、チューニングが一生合わなくて「これやばいぞ」ってなってたんですよ。でも、この曲ちゃんちゃら(ちゃんちゃらおかしいズ)とのスプリットで一回録ってたんで「そのベースラインそのまま貼り付ければいいんじゃね」って話になって

-まんま持ってきて入れたの?

雀:テンポが10ぐらい違ったんですけど

-大丈夫なの?

だ:「聞いてねーし誰も」って言って笑

-聞いてるよ!笑

雀:「混ぜちゃえば分かんないんじゃね」って言って、クォンタイズしたら完璧だった。「わからない!」って言って採用!

-それは今回のアルバムのテイク?

だ:テイクです

-すごいね

だ:「ラッキー!」って

雀:「ラッキーわかんねーわこれ!」って

だ:それでベース終了だったね。「余裕じゃん」って。今回、他の曲は一日4曲とかわーっとまとめて録ったんですけど、「彼と彼女」だけは別日でちゃんちゃらのためにちょっと早めに取り掛かってたんで、まだ頭が冴えてて他の曲より良かった

-そっか、ちゃんちゃらとスプリットで元々入ってる曲だから

だ:1月ぐらいにもうやってたやつ。そっちの方がいいね

雀:そうだね

だ:ダメだよ、ちゃんとやった方がいい。もう遅い

-いやでもすごい良かったよ

だ:あれが一番いいですね

雀:やっとああいう曲を5曲目ぐらいに持っていけるぐらいの展開を作れたよね

だ:ほんとだよね

-曲順の展開に関しては最初からすごくない?なんかもう初めて聴いた時から展開はすげえあるなと思って

雀:だらりが曲順作るのめちゃくちゃうまいんで

だ:大好きなんだよ、小学生ぐらいからそれすごい好きなんだよね

-小学生の時から?

だ:嵐のコンサートのセットリストとか、小3の頃とかすごい考えてる。そういうのすごい好き

-根底に嵐とかの楽曲のイメージがあるんですね

げ:理想のセトリみたいな?

だ:ありますあります

-曲作ってる時にも生きてくる?フレーズ感というか

だ:フレーズ感は、嵐はメロとかもまんまパクったりとか全然したことあります

-その引き出しがめっちゃいいなって思って

だ:嵐基本はファンクなんでムズいっすね。16分をできないし歌えないし弾けないし。だからもうできることない

-オルタナは今作で終了なの?3個続く?

だ:また、どうせもうちょっとやりそうで。放っといてもやるんだろうな。期待はしてないです

-AIの曲(夢の中で暴れた/BONUS EP収録)は今回入れなかったんだ?

だ:あれはアルバムの作業の後に出来ちゃったやつで、入れ損ねたっす。時期が時期だったら絶対入れたはず

-EPよりアルバムの方が先にやってたんだ。EPの出す速さすごくない?産地直送みたいなスピードで出した?

だ:あれはそうっす。発売日はパッションのベースメントのイベントだったよね

雀:5月3日(PASSiON X)に何かやり出したいってなってて

だ:久々のハレの日だったんで手ブラでは行けんだろうって

-晴れの日笑

だ:しばらくライブなかったりしたんで、ここでちょっとガッポリ稼いで

-じゃあその間めっちゃ作ってたんだね

だ:なんか溜まってたっすね。溜まってたやつ入れて

-5月でしょ?じゃああん時にはもう今回のアルバムはできてた?

だ:作業中ぐらい。2月にドラム録ってたのかな?

雀:そう。テイクは録り終えたてぐらいかな。

だ:5月ぐらいにはもうアルバムできてたんですよ

雀:そこから地獄のミックス週間



爆発をつまみに酒が進む星野雀


今回は初の外(レコーディングスタジオ)での録音で勉強になったこと

-ミックスが長かったんだ?

雀:結構機材を一新してドラムも初めて外で録ってもらって、シンマさんに録ってもらったので。

げ:外!笑

だ:その辺の川だと思われるぞ

雀:人と関わることを外というんで

だ:外か。廃墟を思いながら。ベッドタウンだ

雀:結構そのミックスがめっちゃ長くて

-それは同席してやってるの?

雀:全部MIXは僕一人でやってます

-パラデータでもらって星野くんがMIXしたんだ?

雀:そうです

-そうなんだ、シンマさんじゃないんだ

雀:そうです。素材を録ってもらって、あと最終的にマスタリングもしてもらいました

-REIMEIで録ったのはドラムだけ?あとは宅録みたいな?

雀:録ったのを持って帰って家でガーって作業して、2週間ぐらいにいっぺん「今こんなんです」っていうのをあげて

-それは今までもずっとそう?パッションのアルバムも宅録?

雀:そうです。なんなら以前はドラムも自分たちで録ってたんで

-それもじゃあEPと同じ?

雀:全く同じです

だ:なので今回は初レコスタです

-なんかレコーディング自体も分けてんのかなと思って。アルバムの方がちゃんと録ってんのかなと思ったけど

だ:セカンドとサードはマスタリングしてるんで。ファーストはマスタリングすらしてない

雀:本当にそのまま出した

だ:「音量揃ってるかもしんないから出そう、いける!」っつって

-そうなんだ。じゃあ今回は一番しっかり人の手が入った?

だ:初めてレコの現場に人がいたよね

雀:そうだね。あとミックスのやり方とかを人に聞くってことを初めてやって。最近レッドクロスによく出てるんですけど、PAに夏目さん(リハビリたち/ex.挫・人間)ていう人が居て、その人がよく相談に乗ってくれました。一回僕が手伝っているJuice-boxのレコーディングもやってくれてたんで、その人にいろいろ「ミックスってぶっちゃけどういう風にやればいいんですか?」とか「ドラムのここが抜けるようにしたいんですけどどうすればいいですか?」っていうのをいろいろ聞いたら、もうなんでも教えてくれました

-めちゃめちゃ勉強になったんだ

雀:めちゃくちゃタメになりました。、 でもそれで一回「MIXデータ見てあげるよ」な回を作ってもらったんだけど、流れたっすね

-じゃあ見てもらうことはなかったんだ

雀:でも結果的に良くなったんで大丈夫です!

だ:平和だな

-じゃあ曲自体は聴いてもらってないけど、アドバイスもらって?

雀:一般的なミックスのやり方を今まで全く知らずにやってたんで

-我流でね笑

だ:おもしろミックス

雀:「こんなんじゃね?」で3枚やってたんで

だ:イカれてる

雀:そしたら夏目さんに「ゲートってかけてる?」みたいなこと言われて。ゲートってなんすか?みたいなね

だ:硬直してたのよね。「ど、どうしよう」ってね

-「なんか怒られるんじゃね?」みたいなね

雀:「そうやってノイズを抜くのか!」みたいな

-コンプかけた?

雀:かけました、すぐに使いました笑

-そうなんだ、じゃあ結構今までと比べて進化したんだ

雀:そうですね

-他のアルバムもミックスは星野くんがやってるの?

雀:全部俺です。

だ:ほんとド初期の俺がよくわかんないでやってる以外は全部星野です

-そうなんだ。じゃあ本当に、人の言葉に触れてようやく文明が入ってきたような感じだ笑

雀:「あー!」って、「そういうことね!」って

だ:ギターの音も良くなりました。今まではパソコンのソフトで全部やってたんですけど、今回アンプのヘッドと、実機のキャビネットシミュレーターを買いました。

-キャビのシミュレーターがあるの?

だ:アンプヘッドから線を繋いで、キャビから出てる音をマイクで録ってる風の音がライン録りできる機材です。そうやって全部実機で初めてやってみたら、格段に良くなりました。

雀:今までなんだったんだって。良すぎてちょっと揉めたもんね。なんで早くこうしなかったんだ!みたいにお互い言い合って。

だ:あ、でもそういえばキャビシミュレーターは買ってなかったです、借りました。

雀:中島(ヒュードロズのギター)をそそのかして買わせたんでしょ?

だ:買いそうだったんで、「買いなよ」って言って最後の一押しをした感じ。

雀:買ったのをこいつがすぐ借りるっていう

-ジャイアンのテクニックだ

だ:買った機材の試聴会を俺ん家でやろうって言って、うちの機材セットで試して、、、

雀:中島に「ヒュードロズしばらくレコーディングないっしょ?」って言って、ぶんどった。

だ:半年くらい使って、こないだ返しました。

-詐欺師のやり口だ

雀:俺はそれ真横で見てた

-止めはしなかった?

雀:止めはしなかった笑



謎の場所で謎に目がバキるだらり


周りに増えてきた仲間たちからの影響

-でも、こうやっていろんな人と出会って、影響を受けたりとかアドバイスをくれるような人が増えたりとか、一般的にどうやってたのかっていうのを知ったのが今回だね。初期というか、俺たちの出会いたてぐらいの時はお互いマジで誰もいなかったよね。「仲間もいねえ」みたいな状態だった。それが今、全国を回るようになって、友達もたくさん増えていったじゃん。それって楽曲に影響ある?

だ:影響してますね。曲を書いたきっかけが友達だったりするので。

-それ、今回のアルバムにも入ってる?

だ:そうですね。「彼と彼女」はちゃんちゃらおかしいズとスプリットを出すとき、

カエデちゃんと話している中で「ソカバンが最高だ」っていう話になり、その辺りの扉を久々に開けて曲作ったり。

-なるほどなるほど

だ:あと「いないんだぜ」はリリコさん(超右腕)が歌う用にって思って、最初からあげるつもりで作りました。結局僕もやっちゃいましたが。

-「いないんだぜ」めちゃめちゃすごい曲。

げ:ケイくん、あれめちゃくちゃ食らってたもんね

-「あれすげーな!」って思って

だ:もう2年前ぐらいですね

-だらり曲でシリアスなの出てきたら、俺はもう終わりだと思って

だ:「HOGO地球の漂流教室できたね」って言われたのすごい覚えてる

-「HOGO地球の漂流教室できたわーやべー」って思った!あれマジですごい。

だ:そこの要素、まだやってなかったので。

-その日から収録まで結構長かったよね。そこから何作も入んないんかい、ってずっと思ってて。いつ入れるんだよって思ってたら、急に前回のEPに入って。前回のEPマジですごかった!

だ:久々にいいのができました。

-その流れで今回のがあるからめちゃくちゃいい。今のHOGO地球、すごい好きな状態です笑。全部いいんだよ、全部いいんだけどね。「なんかワンダー」とかもマジ名曲だし、最初の「ノーヒットノーラン」とかもすごいじゃん。

だ:いやーでも、去年は何も音源的には出せなかったので

-そうなの?

雀:去年作って去年出したみたいなのはあんまりなかったです

-「遊ぶ予定」は?

雀:あれぐらいです。でも「遊ぶ予定」は一昨年の10月ぐらいにできて、去年の3月に札幌に行く時にリリースしました。

だ:手ぶらじゃ行けないっていって。その時も

-遠征行くのに合わせて音源作って持ってくって、相当すごいよ。今回は音源が出てツアーもあるんだよね?

雀:あります

-いろいろ回るの?何箇所もいく?

だ・雀:東京、京都、豊川、札幌、札幌、トモフ

-大阪は行かない?

だ:大阪は呼ばれてないです

-でも京都があるからいいのか

雀:まあそうっすね。まだ一回もライブしたことない

-大阪って確かに周りのバンドでもあんまり行ってるイメージない

だ:京都に磁場があるような。

雀:でも大阪派もいるよね

-難波ベアーズとかスリーリング(Three Ring Circus)が出てた。大阪のポストパンクの人たちにハマってたっぽい

雀:よさそう!



トモフとホッケー楽しみすぎる!僕も行きます


トモフスキーとの2マンライブ

-ツアーファイナルはトモフスキーだよね。すごいよね。ずっと好きだったところはある?

雀:高校時代からずっとです。

だ:曲を作ろうってなったのがピーズとトモフで。曲作りのテーマ選びとか、お作法を学んだ感じで

-前に1回共演はしてるんだよね?

雀:JAM FESで1回同じ日に当たって、でも僕らがトッパーでトモフスキーはトリ前とかだったんで、演奏を観てくれたとかはなかったんですけど、楽屋で待ち伏せして「好きっす」って伝えて、その時にアルバムの「GOLDEN WEEK」を渡して。そのときめっちゃ気さくに喋ってくれて。

-へぇー、サービス精神旺盛そうだもんね

雀:本当にそのまんまの人だったんで

だ:うれしかったよな

雀:うれしかったです

-それはいい話だわ

雀:あとちゃんと音源聴いてくれてたっていうのが嬉しいです。その次にベースメントバーでトモフのライブを見に行って、また新しい音源を渡しにいこうって行ったらちゃんと覚えててくれて。ツイッターもフォローされて。

-めっちゃいいじゃん!で、「夏なのに」のさ、あのMVの始まり方めっちゃトモフっぽくなっててさ

だ:そうですね、それっぽくもある

雀:あれは一応、コンプレックスの「BE MY BABY」のパクりです

-なるほどね。トモフの「大航海」ぐらいのフォントの

雀:あーでもそれ相当似てますね!

だ:自然と出てきちゃう。僕なんかは影響されるのが怖すぎて、

24才ぐらいまであまり聴かないように気を付けてました。ライブとか見に行った時に衝撃を受けて、この先すべてこの人の丸パクリになってしまうと思って。

-でも24でさ聴くのが一番危険じゃない?トモフって。だって17で聴いても100%を理解するのは難しいじゃん、でも24で聴くと一番刺さんない?

だ:刺さりすぎて大変なことになりました。

雀:ゆっくり刺される

-刺した後拗られるみたいなさ

だ:結局手遅れな感じになりましたね

-そんなトモフと対バンで

だ:星野のおかげです、完全に俺は何もしてないっす

雀:まあ手続きとか連絡関係はやったけどね

だ:アルバムも何もしてないし

-今回?

雀:そんなことないですよ笑



威嚇目的で発売された問題作「Let's SEXY PARTY 2018」ジャケット


CD-Rでのリリース

だ:ちょっと俺も来年は頑張らないと

-来年はまたアルバム?

だ:正月に1枚出して。

-正月に1枚出すの!?もう動かないとじゃん

だ:全然ドラム録れてないんで多分無理です

-またEP?

だ:12曲は入れたい、

-12曲入れたらフルじゃん

雀:そうなりますね。

だ:形になってないアルバムがあるんで、早く録って、早く出したいです。

-それもパッションから?

だ:それはもう自主制作で、もうチャーっとやってやればいいかって

-12もあるのに?

だ:曲がそんなに良くないので

雀:早めに出しとかないと、みたいな曲が多いです

-「そんなに良くない」やばい笑

だ:ストックとして置いてあるのが脳みそに邪魔で。ずっと置いておくとパッションで出すアルバムの選曲で候補に上がってきて、面倒くさいんです。早くお焚き上げしたいような気持ちです。

-自主盤はお焚き上げなんだ?

だ:お焚き上げです。でも、お焚き上げにも炎はいるんだよって。

雀:「俺は燃えてるけど、俺以外に燃えるやつがいるのか」みたいな

-無人島で「助けてくれ」のビンを投げ続ける感じ笑

だ:マジそんな感じです

雀:Message in a bottle笑

-返ってくるからね、「助けてくれ俺もだ」っつって。

げ:誰かに届くと思ってるから

だ:いやでも届いてないかも

-自主のやつも届いてんじゃない?

だ:最近は自主盤もサブスクに登録するようにし始めて、そうすると届きだすってことが分かって笑。CD-Rはホント誰も聴いてない。

雀:俺らも聴いてないから

げ:「CD-Rは誰も聴いてない」はパワーワードだね

だ:CD-Rの曲目を見ながらサブスクで聴いてる

-俺はディアゴスティーニみたいな感覚で楽しみに待ってる。月刊HOGO地球的な

だ:週刊「HOGO地球を作る」

-ここ揃ってねーぞっつって。すげーチャラいリミックスみたいなのが出てきたなーみたいな笑

雀:レッツセクシーパーティー2018笑

だ:ジャケが強烈なんで、物販で来たお客さんにタダで配って嫌な顔されるのを楽しんでた。

雀:あれのレコ発パーティーで全編カラオケライブもやって。

だ:普通に滑ったもん。しょうがない

雀:懐かしいな、高円寺でやったやつ。

だ:もうあれぐらいから三人体制の雲行きがもう、、、

-あれ(レッツセクシーパーティー2018)は三人時代の?

雀:あれミリちゃんいました。ミリちゃんいたからああいう体制でやれたっていうのもあって。3人いるとカラオケでも見栄えがいいので。

-結構、そのときの経験も今に生きてるんじゃない?今回はカラオケっていうのは一切なくて、かなりオルタナ作品になったわけで。カラオケの時期を経て2人になって、「ガーン!」っていうのをやりたいみたいな

雀:個人的には高校の頃めちゃくちゃよく聞いてた自分の趣味のど真ん中みたいなやれたっていうのが今作かもしれないですね。

だ:できないってずっと思ってたんですよね

-それはなんで思ってたの?

雀:自分の思ってることとか言葉が曲に全然合わなくて、どうしてもなんか日本語フォークっぽくなっちゃうんですよね。思ってることをそのまま言うことしかできないから、そういうのがオルタナのサウンドのド直球なものと合わさりにくいなって。

-でも今回はバッチリ合ってるよね

雀:今回は言葉の選び方をめっちゃ気をつけてやって

-なるほどね。結構それ大変よね。修行じゃないけど。自分も海外に向けて音源作りたいなとか思った時に英語をやめた、みたいな時期があって。

雀:そうだったんですね

-海外の人も聴いてくれるんだけど、海外版2ちゃんねるみたいなので「みんなの嫌いな英語の曲も入ってるけど俺は好きだぜ」みたいなこと書いてあって。やっぱ英語ダメなんだそりゃそうだよなって。日本でジェロの演歌聞いてもなみたいなとこあるじゃん笑

雀:めちゃくちゃわかりやすいですね

だ:すごいなー、そういうことか

-だからもう日本語に切り替えるんだけど、やっぱ日本語だと日本のフォークとか青春パンクっぽくなってしまう

だ:星野も今まではそこ行きがちだったんで分かります

雀:絶対になっちゃうから

だ:近い理由で僕も速い曲は書かないし。でもなぜか「ランチ」で急に突破口が見えて

-やっぱ作ってくと見えてくるというか

だ:急にできたなって

-できたら無敵だよ



BOOK OFFにてdigる星野雀


歌詞に込める熱量、思い

だ:やっぱり、うかつに熱を込めない方がいい。

雀:そう、平熱で歌っていこうかなって。ランチの歌詞は、ペイブメントがその時期に来日してて、行きたいなと思って会場を見たら東京ドームシティホールで、なんでそんなでっけぇところでやるんだよって思って笑。でも、そういうペイブメントみたいなバンドがああいうでっけぇところでやるの夢だなって思って、で、歌い出しとサビの一節ができました。

-でも意図するところは、ペイブメント好きな人はわかるよね。なるほどっつって。

だ:あんまり声高にワーって歌うべき事はないっていうのはちゃんと自覚したね

-でも何て言うか、核はあるよね、何て言うんだろう

雀:やっぱり承認欲求が高いんじゃないすかね

-あとノスタルジアに突き進んでいく感じ。(俺の思い出)みたいなものを結構そのままの形で保持しておきたいけど、世の中が変わっていって、「くっそ、なんなんだ」みたいな。怒りが多いよね。

雀:怒りが多いっすね

だ:星野、「お前はクソ」と「俺はクソ」しか歌う題材がないって言ってた。

-そういう意味でベッドタウンすごい曲だよね。「家になるわ、嫌になるわ」でね

だ:構成の面でも、Aメロを何周かするだけで1曲押し通せたっていうのが、、、

-洋楽っぽい、それこそUSインディー的なアプローチ。90年代っぽい。

だ:やっとできるようになった感じですね。

-誰もやってないと思ってたから脅威を感じたよ。日本語でUSインディーっぽいアプローチで、言ってることが虚無でっていう。ベッドタウンは、なんか夜中のでっかい建物も怖いみたいな、そういう感覚があるね笑

だ:そういえばこないだ、チャリで散歩してたら新木場に辿り着いちゃって。スタジオコーストがあった跡地にやっぱりビルが建ってて、その景色を見て脳内でベットタウンが流れましたね。建物の前の前の路上でレコ発したいな。

-で「いないんだぜ」もやっぱスゲー超名曲だから、今回すごいアルバムだなぁと思ったよ

だ:時間をかけたら、かけただけ良い物になりますね。

-ってことは次はもうちょっと時間かけたらいいんじゃない?

だ・雀:それはないです

げ:本当に曲作ってることが幸せらしいからね

-それはすごい

だ:できないのが不安です

-できないのが不安?できなくなったらもうやばいっていう?

だ:そうです、スランプになるのが一番辛くて

-そんだけ作ってたらスランプとかないの?

だ:あります、めっちゃあります。なので毎日辛いです

雀:去年は秋しか曲できなかった笑

-それは二人とも?

雀:ちょっとずつ違うタイミングでいろいろあります

-星野くんは秋しか外出たくないっていうことがあるのかなと思ったけど

雀:というより、僕は急に病みます。

-急に病む笑。でも病んだのがエネルギーになって

雀:病みかけと回復したてが一番エネルギッシュで、曲ができます。病みすぎちゃうと曲なんか作りたくないし、病んでなくて楽しすぎる時も、曲なんか作りたくないし。

-そうだよね

雀:あとめちゃくちゃ悪口を思いついた時がめっちゃ曲できますね

だ:一番いいね

雀:絶対人に言っちゃいけないけど、確実にこの人に届けたいっていう

-分かるー!!

雀:っていう時に曲にしますね。今回も「夏なのに」は100%それ

-そうだろうね「夏なのに」は歌の中にめちゃくちゃ「あいつ」がいるからね。

だ:聴く人それぞれの「あいつ」に届けと思って。

-やっぱみんなにいるから

だ:「いないんだぜ」もうそういう構造になっていて。みんなの中の「あいつ」に向けて、という感じです。

-それぞれの中のあいつね

げ:誰でも投影できる。

-そういえば「夏なのに」あびこさん(Kilikilivilla,吉里吉里農園)も作業しながら聴いてるらしいよ、「夏なのに」めっちゃ聞いてるで!って、アビコさんから急に仕事中に連絡来て

だ・雀:本当に嬉しいです!

-でも本当に今回のアルバムは、また違う層にまで響きそうなアルバムで楽しみだね

雀:そうなってくれると嬉しいって感じですね



何かが降りてきている風のだらり


オルタナのインプット

-なんか普段、それこそペイブメント回りとかオルタナ系とかスマパンとか聞いてる人達に。そんなにいるのか?スマパンのリスナーとか

雀:スマパン最近アルバム出ましたよ

-俺の友達周りではスマパンを追いかけ続けてる奴がいるんだけどさ。

げ:この界隈多いでしょ?

雀:多いです

-だいたい友達です

雀:スマパンのケツを追いかけてる奴だいたい友達笑

-だから変なバイアスがかかってて、スマパンってすごい世界的に売れてるのかと思い込んで。いや、世界的には売れてんだろうけど、日本でそんな奴、俺周りだけみたいな。

雀:アルバム3枚出たのに全く話題になってないし

-無視してるもんね、明確に無視する意思がないとあそこまで無視はできない

雀:日本版なんか出してたまるかっていう

だ:信念のもとにやってんだね。

-その層にも届くアルバムができると思います

一同:笑

だ・雀:嬉しいです

だ:そういうアルバムにしたかったっていうのが一発で伝わっているのがまず良かったです!結局6曲目以降は普段通りになっちゃったけど

雀:でもそれはスーファリを聴いたから

だ:俺もスーファリずっと聴いてたよ

-スーパーファーリーアニマルズね

雀:結局オルタナに染まりきれないぞ、ちょっとふざけたいぞってなった時に、スーファリ聴いたら「これじゃん」って。

だ:めっちゃちょうどいいとこにいるよね

雀:オルタナ扱いされてるけど、蓋を開けてみるとただのロックンロールバンドだ、ただのポップスだっていう。

だ:ただのポールウェラーの時とかあるもんね

雀:そう、時代的にオルタナが新しいと思われてたからやってるだけって感じ。そのチャラさの塩梅がめっちゃいいなって思って。

-でもSilver Sunみもあったけどね

だ:好きっすね~

-あとはピアニカ入ってる曲とかもあって、wannadiesみもちょっと感じたよ

だ:懐かしい!好きです。峯田和伸のブログのおやすみBGMとかで知りました。




大人な装いの星野雀


来年の展望

-今後、今年とか来年の展望は?

だ:展望はとりあえず5枚目を完成させたいですね

雀:EP出さなきゃだし

だ:zo-sun parkとのスプリットも出さなきゃ

雀:まずはツアーを無事終了させて。

げ:レコード出します。

-レコードも、出せればLPで?

げ:LP。来年の春に!

だ:再録ベスト盤みたいなものをLPで出せたらと。今までの3枚目までのアルバムが音悪すぎたんで。

-そうなんだ。大展望だ!やることめっちゃあるじゃん。もう無敵じゃん

雀:なんで俺らこんな予定カツカツなんだよって感じで。全然、誰にも何にも頼まれてないじゃん

「この時期までにおなしゃっす」みたいなの、ないね。俺らの目標設定が急だよねやっぱり

だ:頓挫したらめちゃくちゃ機嫌悪くなるし。

雀:ってか、思いつくのが遅いっていう節はあるかもしれない。

げ:思いついてたことも思いついちゃったこともやりたくなっちゃってるんだよ

雀:確かにそうかもです。

げ:だからキャパシティがどんどんすごいことに。。。

だ:来週ちょっとアルバム出したいな、とか言っちゃう。

-「来週ちょっとアルバム出したい」っていう日本語ないんだから、本来は笑

だ:でかいイベントが決まると何か出したくなる。手ぶらじゃいけないぞ!みたいな。

-ヤクザじゃん。そのまま身一つでいけないのって笑

だ:CD-Rヤクザ。

雀:安っぽい!

だ:全然かっこよくない

-めっちゃかっこいいじゃんCD-Rヤクザ笑。そのうちCD-R音源のことを実弾って呼び出すよ。

だ:実弾発射!

-てかさ、もう多すぎんのか、カタログが。カタログ売れば?もう

雀:それいいですね!

げ:出てるやつ物販に並べるだけでさ、「俺の人生で48枚」みたいな枚数なっちゃうからさ。なんやねんこれみたいな

-カタログギフト出せばいいよ。一言コメント付きで。それ1,500円で買ってくれたら、その中から3枚送りますみたいな。お客さんをあのゴチャゴチャな物販コーナーで悩ませるより、1000円くれたら3、4枚こっちへ包んで、みたいな。

げ:八百屋みたい。プロフィール聞いてさ

だ:来てくれた人に対して「最近遊んでる?遊んでない?じゃあ『遊ぶ予定ep』かな」みたいな。あとこれは構想段階なんですけど、シングルCD、1曲ずつ10種類くらい作って、一番くじみたいにして売りたいんですよね。

-面白そう!シングルガチャ。

げ:レアなのも入れないと。

だ:レアはどうやってつくります?

-元希さんとかに歌ってもらえばいいじゃん

一同:笑

げ:the first takeで録ります。

-みんないろんな人に協力してもらって「この人歌ってんの?」みたいな

雀:ちょっとやってみたい!

げ:結構有名な方のそれもあったりとかして

だ:F賞のオファーかけるのめっちゃ失礼笑

-いや俺F賞やるよ

げ:まずは手短なところで。

-A賞は曽我部恵一さんに「遊ぶ予定」歌ってもらってさ。もしくは「頭かち割りたい」

雀:あーいいっすね!かち割りたい歌ってほしいなー

-めちゃくちゃ説得力ある

雀:本当に歌ってほしいな、夢だなー

だ:で、G賞は友達、ピーナッズとかにやってもらって

雀:わざわざ言わなくていいんだよ。そんなことをさ

だ:言えるぐらいの仲にはなったんだから大丈夫だよ

-仲良くなった?

だ:こういう事言っても、後でフォローができるぐらいには仲良くなりました!

雀:「仲良くなった」はだめですねこれ

-パッション若頭戦争だ。

げ:ホッケーツアーじゃなくてパッション若頭戦争ツアーだったかもだもんね

だ:当初はピーナッズとダブルレコ発の予定だったらしいっす。

げ:ピーナッズの作品が間に合わず。

-なるほどなるほど

だ:俺らが作ってやればよかったんだ

げ:HOGO地球が作ったピーナッズのアルバムとか意味わかんない笑

雀:絶対いいっす

-じゃあとりあえず来年は、LPと、それ以降に向けて。

だ:5、6、7枚目と頑張ります。



この日撮影した唯一の写真。バーミヤン新宿西口大ガード店の「ホゴチキュウ」ボトル、空けた人は入れ直すように。


盤を全部買ってください

-なんか最後、見てる人に何かありますか?

だ:盤を買ってください。

-全部?

だ:全部ですね笑。たまに物販で気を良くしたおじさんが「出てるCD全部くれよ」みたいに言ってくださるんで、全部束で渡して9,000円とかで売ってます。

-こわ笑

雀:今まで4回くらいあったよね。「全部って言いましたよね、じゃあ」って。

だ:サムライマックぐらいの厚みのボリューミーなCD-R渡して。

-今後もまた増えていくわけだね。

雀:あとはツアーファイナルがあるんで、来てほしいです。

だ:迷ってる人はそこに来てください

-そうだね、僕も行きます!

だ:ありがとうございます!

雀:いやーちょっと本当にどうなるか

-じゃあ「音源とツアーお楽しみに」ということで。いいですか?締めは大丈夫ですか??

だ:じゃあボスから締めお願いします

げ:パッション、パッション、大パッショーン!でした!

-ありがとうございました。

だ:嘘じゃん

雀:嘘でしょ

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