interview / 今泉K
(左から)都並和希、大山 アキト、ジョニー
Three Ring Circusは2013年頃から東京・世田谷で同じ窓の3人で活動しているスペース・カルトポップ・バンド。
現在までにCDでのアルバム1作と、カセットテープにて2作のEPを発表している。
その一見掴みづらい独特の世界観からは簡単に伺うことの出来ない彼らの内面や思想、完全セルフプロデュースにて製作された本作”Dreaming in the Water”の深層を紐解いていくべく、世田谷区某所の大山 アキト邸にてインタビューを行った。(2023.10.13)
新作EP"Dreaming in the Water"
歌詞に入れ込む5通りの解釈
- よっしゃー!始めるかー!初めてでしょ?インタビュー。これがやりたかったんですよ。SUGAR FACTORY Xをレーベル化する目的として「インタビューやろう」みたいな。
アキト なんでも答えますよ、NGしかないですけど。
- なんでも答えるけど全部NGですって。じゃあまず自己紹介をお願いします!
アキト Three Ring Circusギターボーカルの大山 アキトです。
都並 都並です。ベースです。
ジョニー ドラムのジョニーです。
- まずこのカセット『Dreaming in the Water』これはどういう意味というか、どこから取ってるんですか?
アキト これ邦題もあって『海底の悲鳴』っていう。
- 水中で夢を見てるみたいな?
アキト そうそう、そこの「夢」が「叫び」になってるっていうような感じで、そして基本的に全曲歌詞とタイトルは一文から5種類の解釈ができるようにしてる。
- 解釈がいろいろあってあるってことね。多角的な。
アキト 2つの時もあるけど、基本的にはそういう多面的なものを作るような意識をしてるから、こんなに(作るのが)遅くなった。
全員 笑
- 歌詞を作るのが一番時間かかる?
アキト 一番かかる。この世にない言語から始まって、一個そこで文章ができて、それを5つの解釈に作っていくっていうやり方。
- なるほど。それがタイトルになってたりするの?そんなことはない?
アキト 『Underwater street』とかは一応、海底の街とかが出てきたりするから、ちょっとタイトルに舞台が近いのかなっていうのもあって、ジャケとかも水の中から「ウニャー」って叫んでるような感じになってるから。
- (ジャケットを見ながら)海底から叫びがガーッと放射線状に出ている感じだね。
アキト 叫びなのか、夢なのか、放射線なのか、いくつもある中の一つの意味を言うとしたならば、結構深刻なものかもしれない。
- このタイトルについてってこと?
アキト うん。言っちゃうと、俺と都並がフィリピンに行った時に見たすごい残酷なものだったりもするから。
- そんなことがあったんだ。歌詞にジープとか出てくるしフィリピンでジープ乗ったって言ってたもんね。
アキト 解釈の一つとして言うならば俺たちが見たのは裸足の子供たちがジープに乗ってきて、一曲歌ってただシンナーを吸ってる。それも餓死しないために、乗り越えるために、お腹が空いてるという感情を取るためにシンナー吸ってて。で、一曲歌って金を貰おうとして去っていくみたいな一コマは必ず入ってはいる。
- なるほどね。その角度もありつつ、そういう路地裏のリアルな景色と一緒に、その奥のレイヤーでSFみたいな世界観が同時進行で動いている感じ?
アキト だし、俺たちが叫んでる可能性もある。海底がここなのか、そこが海底なのかっていうのはわからないんだけどね。
- 居場所、どこの立場で見えてるかは..
アキト ズラせるけど。
- どこに立っているのかは分からないってことだよね。
アキト そうだね。
- どういうものが見えるかは聴いてる人達に委ねるってことですよね
アキト 『Underwater street』の曲中の歌詞で言うと「魚たちもたどり着けない場所」っていうのはそういったことだね。
- なるほどね。うん。ありがとうございます。すごいね。いい感じ!
アキト 喋れてるでしょ?(数年前にもインタビューを行ったが、無言の数十分が続き失敗した。)
- 喋れてるねー。
アキト これはね、ジョニーのコークハイボールがありがたい。
- かなりいいですね。
アキト あとは時間がかかりましたから。
- そうだよね。これどのくらいかかった?前作から1年ぐらい?
都並 1年9ヶ月ぐらい
- 1年9ヶ月も経ったんだ
都並 実は経ってる
アキト で、たったの4曲
- この4曲ってなんか、まとまってできたようなイメージがあったよね。新しいフェイズみたいな。統一感もあるような気がしてて。曲調とか違うかもしれないけど、同じ時期にできたんだろうなっていう感じがあるよね。
アキト 音的にはその時期に同時にできて、歌詞的にはそこから変わりまくってる。揉んで、そしてバラして、揉んでバラして。解釈が5つは欲しいから
- そうだよね笑
アキト ただきっと聞く人が聞けば別に10にも20にも増やせるから。経験が違うからみんな
インタビューのためライブ衣装の白ツナギに着替えるジョニー
愛するためには一緒に変化した方が近くに置ける
- そうだよね。次作はどうするの?アルバムとか考えたりする?
アキト 構想は今のところ、このまま4曲のセットをあと1,2個作って、その5部作とか4部作の中から曲をピックアップしてフルアルバムを作ります。
- おー、すごいいいね。
アキト それぞれカセットにしかない曲っていうのを残しながら、アルバムに向かっていく選抜メンバーみたいなやつで。フルアルバムっていう。
- 「ここからこれ持ってこう」って前の音源とかからも入ってくるじゃない?そこでまた歌詞も変わったりする可能性もあるってことだよね?
アキト 変わります。というか、変えていこうと思ってます。
- あー、変わるもんね、言いたいこととかってさ。
アキト 言いたいことは変わるし、本当に申し訳ないです。聴いている人たちは、あれを見たい聴きたいっていうのがあると思うけど、でも10代の頃から俺は本当に大量に曲を捨ててきたから。
ジョニー 爆笑
アキト 愛するためには一緒に変化していった方が近くに置ける。
- そうだよね。やっぱ違和感を感じながらその曲やれないもんね。
アキト だからもう静止画というか動画のように、曲が動く中で記録としてピンを刺すっていうことは続けてるから。もしあれが聴きたいんだったらタイムマシンに乗って聴いてくださいって感じ。作ってるから。俺たちのカセットを聴けばいい。
- なるほどそうだよね、まあ記録だからね。
アキト そこに私は眠ってなんかいません。千の風にね、なっちゃうんですか?
- 一回眠ってた時期あったらしいけどね。マスターテープを割る事件があったりね。
アキト それを経験したのはジョニーさん(※アキト、ジョニーがやっていた前身バンドにてレコーディング、MIXが終わったマスターデータをアキトが破壊する事件があった)
ジョニー まあ、そんな経験俺だけで十分だよ。
全員 爆笑
ジョニー 都並にはさせられない。
都並 僕は絶対一緒にやれなかった。だからある程度(アキトが落ち着いた)第2陣の時に仲間になれてよかった。
- 前身バンドはもう10年以上前だもんね。
ジョニー 11年前くらいね
- だってもうレコーディングも終わってMIXもやってって感じで?
ジョニー マスターテープを割った。全然さ、CDだから復元はできるけど。
- でもそういうことじゃないもんね。
アキト それはもう俺の表明。ただまぁ、「バキン!」って割ったんじゃなくて「グニュゥゥゥ」っていう..
- 捻れちゃったんだね。
アキト 「これは出せない」と。でも今回含めてこの3本もね、時間は空いたけど定期的にリリースできるようになってさ。
- それはめっちゃ進化だよね。
アキト 絶対に褒めてほしい。それができるようになったことは。
- そうだよね。レコーディングとかミックスの時ってあらかじめ「こういう風にしたい」的なトータルのイメージがあったりしたの?
アキト ありました。前作をまず軸にして、そこからもっとできることが増えていってるから、レベルアップするという形でもうちょっといいものを作りたい。全部自分たち3人でレコーディング、ミックス、マスタリングってやったから。
- じゃあさらにいいものを。技術も上がった?
アキト 技術も上がっている。本当に無限のような時間を過ごしてた。
- すごいね。自分たちで全部やってんだもんね、レコーディングもそうだし。
アキト 本当に俺一人では絶対に不可能。例えば街とかにあるネズミ捕りの超音波とかに昔から引っかかるんだけど、それって調べると結構ヘルツの上の方で人間が聴こえないところなんだけど、俺にははっきり痛みとして聴こえる。ハイに弱いから何も考えずに音を作っていくと本当に丸い音源ができる。その辺の丸みを意識するのに2人が必要だから。
- うんうん。
アキト 今回やったのは、ジョニーと俺は執着して音をこれがあーだこーだっていうすごい細かいところをやっていく。最後にその出来た料理を都並にお出しして、うまいかまずいか。彼がまずいって答えたら俺は出さない。
- 最終ジャッジを都並君がすると。
アキト そんな「スネアがどうたら」っていうのはさ、例えば「あの隠し味に私はポーランドへ行ってですね〜」って説明してもねえ。その道中がどうあれ、うまいのかまずいのかっていうのをまずシンプルに捉える人間が必要。
- 味の分かる人間。
アキト で、俺たち3人でやってるから。外部がないから。
都並 僕が非常に一番雑なことやってる。もともとヘッドホン、イヤホンで音楽を聴く習慣とか全くなくて、すごいざっくりとした解釈しかしてこなかった。だから外で移動中とかに音楽を聴くのがあんまり好きじゃなくて。
- 家で自分のスピーカーで聞きたいってこと?
都並 家でも耳に何かを入れて聴くのがあんまり好きじゃないから、多分あんまり細かいとこ聴こうとしてない笑
- そのスピーカーで、家での鳴りで判断するってことだよね。
アキト でもいいもんは食ってきてるから、いい音楽を
- そうだよね。同じフィールドで聴いてるっていうことを信じたいわけで。他の音源もそのスピーカーで聴いてて、同じ環境で自分たちの音源聞いてどうかっていうことを判断できるってことだよね。
アキト 舌の信用、その役割を彼が担っている
- これはちょっと違うなとかもあったの?
都並 いやでもそんなに。
アキト 微調整はあったよね、料理を変えろってのはないけど。
都並 そうだね。でも全然、より表現したいことが多分できるようにはなっている。
- いいね、すごい! ジョニーはドラムとかのミックスとかレコーディング担当?
アキト 全体かな。ジョニーは本当に繊細で、俺が全然気づかない部分があって「よし」ってゴーサインで行ったところでジョニーが「いや」っていう瞬間はいっぱいあった。
ジョニー その逆もあるけど。互いの好みとかもあるからそこで違いはあったりはするんだけど、すり合わせていくと結構いいものができる。
アキト ディレクションの権利は俺だけど、それまでの細かい計算式のコントロールをジョニーはやれる。
最近大型テレビを手に入れた大山 アキト
いいものを作るか、興奮するものを作るか
- 今回かなりいいのができたもんね!めちゃめちゃいいのができたと思うから、役割分担がめちゃめちゃうまく働いているような気がする。都並君の好きそうなイメージも今回入ってる気がした。
アキト なんか不思議なのは、うちのバンドの場合はやっぱりベースを地味にすると面白くない。そもそもそういう音じゃんライブとかも、この人はバッキバキな。
- そうだね
アキト 我慢した方よ、この音源それでも。
- 確かに
アキト 我慢した方だと思う俺は。
都並 いやいや違う違うそんなに。
- 割とバキバキだよね。
アキト その辺の道歩いてるベーシスト何人かしょっぴいてって色々音を聴いていったら、多分結構違うと思うよ。
都並 そうかぁ..
アキト その(バキバキの)要素を取ると聴きやすいんだけど「だから?」っていうものができてしまう、っていうミックスの途中の話になる。あれ?これってやっぱり引っ掻くような邪魔と思うようなノイズとかも取っちゃダメなのかな?とか色々出てくる。結局人間がやるもので。
都並 それも結構好みの問題で、思ったよりライブで見た時にギャップがあるのとかも俺は好きだから、別に今作に限ってじゃないけど「ベースの音とかそんな物足りなくなくない?」とか思ってるんだけど、意外とアキトとかがもうちょっとこうしたい(上げたい)ってなってくるみたいな。俺の方がそんな上げなくていいんじゃないかって思っていたりはする。逆の感覚というか。
- 都並君のベースの音のイメージがアキト君にもあるだろうし聴いてるみんなにもあるから、そのイメージをわかりやすく肥大化させてみたいっていうのもあるのかな。そうすると都並君的には「そんなにやってないよ」みたいなこともあるのかもしれないね。ライブ音源はあえて違いを作ってたりするの?
アキト レコーディングは冷静なプレイではない、基本的に。そのなんだろう、空気感をパッケージングすることには一応重きを置いているけど、でもなんだろうなぁ。そのままをパッケージングして出しますっていう感覚ではない。
- 音源でも結構ちゃんと激しめに動いたりしながらやってるんだ?
アキト そうねぇ。
- ライブに近い動きをして録ってるんだ。やっぱそれで変わるのかな?弾き方とか、弾く強さとか。
アキト 分からないけど、冷静にやったトラックがあんまり良くないって経験が多くて。やっぱそういうそいつが出てた方が。
- 体重乗ってないと良くないんだろうなみたいな?
アキト ミックスってきっと俺たちの技術ではちょっとまだあれだけど、結構どうにでもできる部分はあると思うからこそ大元に一番体重が乗ってなきゃ、なんかそういう説得力が出なくなる気がして。
- それは結構面白い話だね。確かにそうかもしれない。
アキト 冷静になっちゃう。修正が効くっていうテイで歌ったりとか、修正が効くっていうテイで冷静にトラックを作ってるともちろん聴きやすいものはできるんだけど。
- アガらないものができちゃうっていう。
アキト そう。いいものはできるかもしれないけど興奮するものができるかはまた別というか。刺激物なのかどうかっていう。
- なるほど。めちゃくちゃいい話!去年EP出して大阪とか名古屋に行く機会が増えてさ、ポストパンクとかシューゲイザーっぽいところとか様々なイベントに出演したわけじゃない?そこから受けた影響とか、得たものとかもあった?
アキト とりあえず関西は強い!なんて言ったらいいんだろう、興奮した。「こんなに居るのか、こういうバンドが」っていうのが広がって、だけど基本的にそれをやろうっていうことは俺の中で起きないから、結局どこに行ってもしっかりと界隈にハマるっていう経験があんまりないけど。
- なかなかないよね。
アキト ただそこに尊敬がある世界があって「あの人たちはこれをやってる。それをやってて確たるかっこよさがある」で自分が(別の所に)いるっていう感じで捉えられるから、外に出て行ったことは多分バンドの進化、変化に思いきり影響されている。そういう意味では、
自分たちをもっとやれるっていう精度が上がっていってる。だからもっといっぱいライブやりたい。海の中でライブやってるやつとかいないの?こんなに広いんだから。
「リズム隊」「バンドマン」など嫌いな言葉の多い都並
リズム・バンドとしての意識の変化
都並 なんかだからこういう風に見られてるんだなっていうの、変化みたいなのが面白いと思ったというか。
- 意識の変化みたいな?
都並 リズムバンドじゃない時期から音楽性も変わってきていて、こういう反応があるんだなぁって。
- 大阪、名古屋に行って新鮮な反応があったりした?
都並 ビート、リズムの方で捉えるっていうか。
アキト 俺たちが思ってるよりビートのバンドなんだなっていうのはある。でもそれはねぇ、そうでしょうねっていう話があるのは俺自身がドラマーとして音楽キャリアをスタートして、ドラマーでずっとやってきて、ジョニーはドラマー、都並もベースで打楽器。
- リズム軍団だ。確かにリズム強いよね。
ジョニー もはや3人でリズム隊というか、リズム隊という言葉とは?っていう状態。
都並 これ結構面白い話だよね。
- おーなるほどね。
都並 リズム隊っていうの好きじゃない、言葉として。
- 言葉として嫌なの?リズム隊が。ベースとドラムでリズム隊っていうのが「はっ?」て思っちゃうってこと?
都並 「バンドマン」ぐらい好きじゃないかも。
- 「バンドマン」も好きじゃない?
都並 好きじゃない。
全員 爆笑
- 「ミュージシャン」は?「バンドマン」よりマシ?
アキト 敵に回すんじゃないよ。
ジョニー となるとなんと分類されたいのか気になる。
都並 なんか難しい、それを直訳できる日本語以外の言葉があるのかな?とかも思うし..
アキト よく考えたら、俺もミュートプレイとか多いし、ちょっと打楽器っぽいプレイをギターで結構やってて。
都並 そうなんだよ、だって歌だってリズムだしさ。土台がしっかりしてたら、自ずと良くなるみたいな話はあるけど別にそうじゃないような気もするのよね。
アキト まあ言語として上物っていう言葉もあるけど、リズムなんだよな、全部。
- 今回の音源は結構、今までにないぐらいリズムにフォーカスが当たってる気がした。だからすごく乗れる感じの曲がいっぱいある。ズーンと深く落ちていく楽しみ方の時もあるじゃない。それでまた開ける感じの、ゴスペルっぽいイメージの時もある、スリーリングって。今回はその2つの要素が入りながらも、割とリズムにフォーカスが当たってる作品なのかなと思った。
都並 一番ちょっと暗いというかシックな4曲にはなってる感じがする。
- 今までで一番暗いんだ?
都並 俺はそう思う。
アキト 意外とトロピカルな印象っていうのをスリーリングサーカスは持ってたり、そういう側面があるから。
都並 でもご機嫌ではなさそう。
今作に収録されている"The Missing Trickster"MV
SF、ファンタジー、リアルのバランス
- 確かにシリアスではある。
アキト それはもしかしたらそういうムードだったのかもしれないね。制作してる期間も、ご時世もあったわけだし。フィリピンに行っちゃったってこともあるし。いろんなことが重なって、だけどただそれだけの作品にはしたくないから、だからさっき言った5つの解釈みたいなものをかなり集中して、解像度によって変えられるようにしたい。そういう絵本を作りたい。
- 子供が読んでも一瞬で子供的な理解ができるし
アキト 大人が読んだら別の理解ができるし。ただめくってるものは一緒。
- いろんな解釈ができる
アキト それは今後もやっていきたい。もちろん10代の頃はロックンローラーに憧れて「俺の考えはこうだ!ついてこい!」っていう、そういうスタイルでやってたけれども、結局俺はね、3人兄弟の末っ子で、家族はもうすごい奇天烈な人たちで構成されてて、それを襖の間から常に見て覗いて「どうなるんだろう?」って妄想を広げたりとかっていうやつが「俺の考えはこうだよ、お前らもこうしろついてこい」ってできるわけないんだよ。ガワはできるよ、でもそれをガワをやっていったら俺の人生は呪われると思う。
- みんなをついてこさせたら?
アキト 呪われると思う。だって本人がガワだけなんだから。例えば一つの刀は正義とも悪とも呼べるわけよ。ただ俺の役割はそれを溶かしてオブジェにして道路の真ん中に置きます。人通りのある場所に置きます。それを見た人がどう考えるかっていうのを全うした方が。奇天烈家族の三男はそれしかないよ。ただ憧れたよ、ロックンローラーになりたかったけどね。
- その刀を本来の使い方で正義に使う悪に使うっていうよりかは、刀自体を溶かして別のものにして正義も悪もない状態のものを作って置く。その刀はもともと使う人によって正義と悪で絶対的に違いが生まれるものだったけど。ってことだよね?
アキト だからもう多分わからなくなって混乱していってるんだと思う。俺自身これがこうだっていう正義がもう一つも、何に対しても言えることがなくなっちゃう。SF病だって俺は勝手に呼んでんだけど。
- SF病ね。
アキト これSF病ってなっていくとさ、大きく言っちゃうと人間自体を否定することになっていったりするわけじゃないですか。そうなるとまあ大変だから。
- でもやっぱりSFとかさ、映画とか本とか見るの好きじゃん、アキトくんは。
アキト うん。
- とかさ、自分でもエイリアンを作ったりしてるじゃない?そこからの相互の影響とかってあるの?楽曲からエイリアンに行ったりエイリアンから楽曲に行ったりとかっていうのは?
アキト あるね影響。
- なるほど、相互に影響を受けている。エイリアンと自分の作った音楽と。
アキト やっぱり、人間でものを考えていくと、どうしても私情が入っていっちゃう。自分が地球人でやってるから。けど、何かこう、別のものを置いてものごと考えると、同じ状況だとしても違う角度で客観視することができる。
- はいはい。
アキト もちろん自分の経験から作ってはいくんだけど、それを何かに重ねるってことしたくて。直じゃなくて。それはまあシャイな人はあんまり自分で「俺シャイ」って言わないと思うけど俺シャイなんだよね。だから曲げたいわけよ。まっすぐじゃちょっと照れちゃうわけよ。
- なるほど、メッセージとかをね。
アキト うん。で曲げ切った結果「何言ってんだこいつ」って言われるんだけど、でもその経験やそういうものを反映させて行かないと体重は乗らないじゃん。離れすぎたら。ただそういうファンタジーとSFとの違いみたいな話かもしれない。
- それはどういう認識でいるの?ファンタジーとSFっていうものの。
アキト 認識で言ったら、月に行くのにロケットに乗って吹っ飛んで月に刺さって異星人と恋愛してみたいな。これはファンタジー。SFに関して言えば科学技術とかそういうリアルなもの。「そうやって吹っ飛んだら着陸ができないから人間は死んじゃうじゃないか、恋愛する前に」って。そういう科学オタクとか、そういう人たちが湧いてもっと細かくなっていくわけよ。
- うんなるほどね、なんか見えない力、説明できない力が働いて「いいんですそれで」で動かしてるのがファンタジーってことね。
アキト 1回そのファンタジーを本当に追求しようと思って作った歌詞とかがあったんだよ。最終的に俺も理解できないような永久機関の玉が浮いてて、それについて歌ってる歌があったんだけど、もうわからないのよ。だから俺自身も共感できないし誰も共感できないのが誕生して。てことはやっぱりそこに似てる宗教観だったりとか地球人の感覚っていうのを一個、混ぜるだけで一色「ぷっ」て、そこの永久機関に一色ぽとって垂らすだけで、共感は少し作れる。
- 確かに。
アキト それの分量をどういい感じにするか。
- SFとファンタジーを?
アキト そう。だからファンタジーをやらないって言ってるわけではなく。
- ファンタジーのディテールの中にSFをちょっと入れないと、みんなが全然わからないものができちゃうってことね。
アキト ただそういう解釈が全部はっきりと説明出来ては楽しくないから、そのスペースは残さなくちゃいけない。
- 歌詞とかに関してはアキトくん以外の2人は関与はない?
都並 ない。
- じゃあ完全にアキトくんのファンタジーとSFと路地裏のリアルみたいなところの全部混ざった世界観で構成されてるわけですね。
アキト ジョニーがネットで書いてたやつで、今回のEPに『The Missing Trickster』っていう曲があって「Standing in the Mirror」っていうフレーズがあるんだけど、ちょっとそれの話を..
ジョニー その、「Standing in the Mirror」っていう歌詞を見た時に自分が思い出したのは、自分がヴェネツィアに旅行しに行った時の光景で、サン・ジョルジョ・マッジョーレって教会があって..
- 難しい名前が出てきたね笑
ジョニー ジョジョの舞台とかにもなってる教会なんだけど。そこに特設展で鏡がずらーってゼーレ(エヴァンゲリオンの偉い感じの人たち)みたいな感じで並んでて、内側は鏡、外側は各国の言語で「Amare la differenza(違いを愛すること)」っていう風なことを書いてて、ずらーって鏡が並んでて、それを自分で写真撮ったり、いろんな観光客の人たちが写真撮って、自分の言語を書いてあるやつ撮ったりしてっていう光景を思い出した。
アキト これですごいのがジョニーがそれを言ってその写真を見た時に、その曲のミュージックビデオで全く同じというか似てる構図で作ってて、俺はそれを知らない。
- すごいねそこリンクしてたんだ。
アキト そこで俺はすごい感動したわ。なんかそういう場所もあって、しかもそこにはそういうメッセージがあったりとかして。
- そのメッセージもなんか繋がってそうな内容だもんね。
アキト 鏡がそんななってるような場所も知らないし、ただ映像としては作ってた。何も考えずに自分で鏡を並べて「そいつがそこに」っていう、こういうことが起きるわけですよ。
- 新しい角度が入ってきて。
アキト それが大好きだから。「みんなで作ってよ歌詞(解釈)は」って感じ。俺は最初作るけど。
- 聴いた人、全部違うぐらいの解釈があると思うよ。現にそうやってジョニーが聴いて、また新しい違うけどリンクしている解釈がもう一個生まれるっていうね。
アキト そこが美しく見える。なんかの曲を作った時に結構言われたことある「あれってめっちゃ恋愛の歌だよね」って。正直そのパーセンテージが薄めであっても、その人にとってはそれが結構、90%ぐらいに思えてるって捉えた時に感動した。「やりたいことだ!」って。
- また新しい解釈が生まれたっていうね。
アキト その生まれるための文字っていうのを作るのには、この二年で四曲ですよ。最悪ですよ、遅いですよ。
既に巨匠の風格漂う大山 アキトの1stソロEP
脳内でライブを行い、4曲分の全パートを覚えて楽器に起こす
- ソロでも作品を作り続けてるじゃん、アキト君は。ソロとバンドでなんかこう楽曲を棲み分けてたりするの?
アキト する。
- どういう基準でソロとバンドって分けてるの?
アキト ソロの楽曲を想像した時に都並とジョニーの姿がそこに無い、っていうのがシンプルな答えかもしれない。最初のイメージに2人がいるかいないか。あと、まず曲を作る時に楽器は使わない。
- あ、そう!?頭の中だけ?
ジョニー ライブをしてるみたいな話をしたもんね?
- 脳内でライブしてるの?
アキト そう。今のところそれを保持できる最大が3曲か4曲。全部の情報
- 4曲覚えてられるの?脳内でやったやつ。
アキト これは15年かかった。4曲を構成するのはドラムのフレーズ、ベースのフレーズ、歌のライン、ギターのライン。
- 全部脳内に一回インプットして、それを起こす作業を始めるってこと?
アキト 俺はほら。マルチ(プレイヤー)。
- そうだね全部できるもんね?
アキト でもそれを記憶するっていう部分はまた違う能力で、いくらこの全ての譜面を起こせるとか、例えば楽器のフレーズができるとしても、同時に握ってられるっていうそれが限られていて..
ジョニー マエストロじゃん。
- カルトポップマエストロ。
アキト でもそれの限界が3,4ぐらい。
- でも一気にでしょ?
アキト そう一気に。
- すごいね、今4曲同時に作れるってことだよね?
アキト 作れる。
ジョニー 交響曲4楽章まで作れるってことでしょ?
- すごいよ。
アキト でも結構ぎりぎり、顔を引っ張られながら引っ張られながら4曲保持してる状態。だって変えたりするから。「あの曲のBメロをこういう風にしよう」っていうのを脳内でおこなってる間、残りの3曲も握ってる状態ですからね。
- いや無理無理そんなん!
アキト ただ尻尾つかめなくなる時もあるから、一応ボイスメモとかにバックアップとして残したりするときはある。iPhoneのボイスメモとかに。
- 自分でメロディとかを歌って?
アキト 一応バックアップとしてやるように。大人になったから。その中のいいものから楽器に入っていく。で、まんまをやるんじゃなくて、やっぱり完璧な設計図にコーヒーをわざとこぼすみたいなのが俺は大好きだから。
- 全部のパートが一回アキトくんの脳内で作られていて、それを都並君とジョニーに流すじゃない。それってどういう風に伝えてるの?叩いたり弾いたりして渡すの?
アキト ベースの場合はギターのチューニングがドロップDだからやりづらそうだけどね。ちょっと場所がフレット外れちゃうみたいな。見た目じゃ出来なくて耳でやんなきゃいけないから大変だと思う。ジョニーはドラマー同士だから話が早い。
ジョニー 前まではなんか叩いて「こう」ってなってたのが、最近は口で説明が多い
都並 バンドの形としてはなんかあんまりないだろうからね、具体的にドラムが叩ける人。ベーシストの人が曲を書いているケイ君の逆みたいな感じかもしれない。
- なるほどね
都並 本当は普通のバンドみんなそうなんだろうけど。俺の場合他の二人はベースを触らないから。基本的にはそういう気持ちでやってる。
アキト 都並にはざっくり渡して「これをいい感じでやって」って。
- 結構都並君が考えたフレーズもある?
都並 うーん、そうだね。
アキト ドラムに関しては俺は執着があるから細かいけどね。
都並 アキトがいろんな長い経験の中でべースのことを真剣に自分でプレイしたことはないだろうと。だからそこを担うのかなと。
アキト 遺伝子だけだから。親父が元ベースプレイヤーだった。今は会計士だけど。あとはきっちり完璧に練るよりは60,70で余白作った方が都並は最終的に良いものを作る。
- 都並君の弾いてる感じにあったものはやっぱり都並君が一番得意だろうからね。
アキト 昔は完璧主義者でやろうとしたけどね。
- 今ではそこまできっちりやってないってこと?
アキト 今はそれを超えてくれるんだったら。もちろん超えなかったら「いやまだある」って次の案を出してもらう流れはやるけど、最近はあんまないかもね。
都並 今のThree Ring Circusの楽曲にそういう印象あんまりなさそうだけど、聞く人は細かい話だとさっきのドロップDになってるギターに俺揃えてなくて、っていうのでずっとやってて。
- 都並君はレギュラーチューニング?
都並 レギュラーなんですよ。これ結構妙だと思ってて。たまにそこで当たるときがあるんだけど、それが出せないみたいな。
アキト でもだめよ都並のベースをDにしたら。
都並 駄目なんだよ、俺もあんまり好きじゃなくてあのDの..
アキト っていうか都並は高い方のDで低い方のDの迫力を出せる。だから必要ない。普通のベーシストは無理だけど。
- ペラッペラになっちゃうからね。信頼あるんだね。
都並 単純にかっこいいって話もあるしね、合わさったときに。そんなコードだけでやっていく曲は今は減ってるけど、個性になるし。なんか妙だと思う。ギターの方が低くてDの音を俺が高い方になってる。
アキト 俺がDなのは昔バッキングを指一本で弾けるために。中指を立てて全部バッキングを弾けるようにするためっていうのがきっかけで、その延長線上で今もドロップDだからレギュラーチューニングした時に「こんなコードもあるのか、こんなコードもあんのか」って感動するんだよ。やっぱギターを発明して、色んな人が研究をしてレギュラーチューニングが出来上がったんだなあって。
- それだけいろいろあるんだっていう。
アキト でもまだその中指を立てる呪いが...その十代のね。
- はいはいはい。
アキト まあでもDはDで、それでできる新しいコードが色々あるから。
- 他にもやってるバンドでもチューニングはドロップD?
アキト D。ギターをそういう楽器として思っちゃってる。
図面を描いた人間を一番知っている人たちに家を建ててもらう
- なるほどね。アキト君もさ、HEAとか他のバンドをやってるじゃない。で、ジョニーも都並君も違うバンドやってるじゃない。その中でThree Ring Circusならではのルールみたいなのあるの?
アキト 俺はあるよ
- どんなこと?
アキト Three Ring Circusの他は全部塗装屋。業種が違う。Three Ring Circusは設計図を書いて木を選んでってやるけど、他のバンドではどういう配色で混ぜてこの色を乗せるかっていう、本当に塗装屋に特化したその色のムラとか配色とか、そこだけに執着してプレイしてる。
- 作曲はないの?他のバンドでは
アキト ないね。あ!あるけどアコースティックで作ってたりとかするから。
- あー、またちょっとイメージが全然違うんだ。
アキト 兄貴とやってるやつはさ、ちょっとまた別の言語で繋がっていて「あー、兄貴が作ったこのオブジェにこの色を塗ろう」ってやるけど、ただ設計図に触れるってことはあんまりしなくなったかも。昔は触れてたけど結局兄貴の体重が乗らなくなってくるから。だから最近ポジションっていうのは意識してて。ただThree Ring Circusは自分の本当に生み出されたものを。
- 図面書く係をやりたい?
アキト ってことで。図面書いたやつのことを一番よく知ってる人間に家を建ててもらうっていう感じでやるから全然違うものだね。職業が違うかも。楽器はギターだけど。
- なるほどね。都並君はどうですか?MirrorMovesとThree Ring Circusで。
都並 正直ギャンとした音はなるべく出さないようにやってたけど、いろいろ時を経て、同じ役しかしない役者みたいな感じではないかなと思っている。
- 都並君はMirrorMovesにいてもThree Ring Circusにいても都並君のままって感じするよね。
都並 楽器も16歳の時の楽器を使ってるから。それが別にいい話としてしたいわけじゃないんだけど、なんか良くも悪くもなんか自分はそういうやつなのかなって思った時はある。
- 音色とかも変わらない?
都並 うん。今やるんだったら変わらないかな。微差。
アキト 右手の話かもね。初めて会ったときから同じことをやってそれを研ぎ続けてるっていう。だから俺とジョニーが緻密な何かをやってる時にあんま介入させたくない。
都並 向いてないです。
- 都並君の領域ってのがあるんだね。
アキト まあ職人がちゃんと職人として。この時代はね。器用な方がいいんだろうけど、でもこの一個の味でやるっていう人間っていうのが最終的には次の時代には一番必要な人材。マルチじゃなく、一個を研ぎ澄ました人間にマルチのそういうのは敵わない。それがもう本当に人類の次のステップだから。
- なるほどね、そのぐらい右手が。
ジョニー そこからもうアキトはドラムではあったけど一緒にバンド組んでるからね。俺もしっかり見てるし。
- なるほどね。
都並 楽器買いたいんだけどね。40万ぐらいの。
アキト エフェクターとか楽器とかアンプとか何をやったところでやっぱり重要なのはあなたのその右手。その精神性がなくなった時に人間として終わり..悪口になってきた笑
- 踏み込まないってことね
アキト そうだね。国宝に落書きしちゃうのはダメ。
- なるほどね。ジョニーも複数やってるじゃない?Three Ring Circusと別のバンドとの違いってある?
ジョニー がっつり違う気がする。Three Ring Circusのジョニーとドラマーのジョニーみたいな感じになってくるかもしれない。Three Ring Circusは本当にスリーリングチューニングというかアキトチューニングのドラムになってて、始めてからもうずっと「アキトとやるんだったらこう」みたいなのが、アキトが変化するにつれて自分も変化しつつ、外でやるのは外でやるので別のジョニーがいる感覚。その時はThree Ring Circusで学んだことをバンドに反映させつつ、もっとそのバンドが良くなるようにっていうムーブをしてる感はある。その方がどちらのバンドにしても結構いい作用をしてる。Three Ring Circusだとインプットしていく感じなんだけど、他のバンドでアウトプットすると、なんか教えると逆に身につくみたいなそういうのに近い感覚があるかもしれない。
- Three Ring Circusで得た知識とか新しい概念を他のバンドにアウトプットすることで、Three Ring Circusでのアプローチに対する理解度も上がってたりするってこと?
ジョニー うん。
- じゃあもうお互いにとって良いことがずっとある感じだ。
ジョニー あると自分は思っている。
映画「セッション」のような異様な緊張感のスタジオと、裏切りの美学
アキト スリーリングは異常なスタジオの日とかあるからね。ひたすら「ジョニーそうじゃない!こうじゃない!」とか言ってて、ジョニーがひたすら叩いてて、都並はボケーっと待つ。
- 映画「セッション」みたいな笑
ジョニー 1・2・3・4(ほっぺを叩く)1・2・3・4(ほっぺを叩く)
アキト 「それじゃあ俺は踊れない」って。マイケルジャクソンかっていうぐらいの。でも執着があるから無理なのよ。
ジョニー それに対しても自分も理解するというか、言われた時にああ確かにここがこうなってない、踊れないとか分かりつつ「ぐぬぬ」って思いながらっていう。
アキト 結局演奏においては指揮者な訳で、そこがやっぱり特に秀でてないといけない。それに俺は、これだけとことんこだわっておいてライブで全てを破壊する人間だから。その時にしっかりとしてなきゃいけない訳だから。あんだけ細かい話をしてたのに違うことする。だからもう二重人格のヤバイやつみたいな感じになってる。でもこだわりたいんだよ練習はね。
- それもアキト君の中ではThree Ring Circusならではのことなんでしょ?全部作って本番でブチ壊すのはスリーリングぐらい?
アキト だってLEGOのお城シリーズを買ってお城を作って飾ったらもう終わりなんだよ。だけどお城シリーズについてきたキャラクターの顔の部分だけをつなげて棒を作ったらどう?
- 始まった感じあるね。
アキト それが大事なんだよ。自分を裏切ることもかなり、詐欺師ならではの興奮というか、しっかりと設計図を書いて構築するんだけども破壊したりとか、一個裏切りの要素を作らないと。それがさっき言ったコーヒーみたいな。
- しっかりスタート地点からゴール地点までの道のりを把握した上で、蛇行して帰るようなもんだよね。ゴール地点が分かってるからどんだけ蛇行して道草食っても行く場所はなんとなくわかる。
アキト コーヒーをさっき言った脳内にある楽曲の時点でこぼすのか、楽器に落とし込むときにこぼすのか、練習の時にこぼすのかライブの日にこぼすのかって、その裏切りの位置っていうのは様々なんだけど、一個入れないと俺はできない。
- なるほどね。ライブごとにやっぱりその些細なこう裏切りというか変化の要素っていうのは、どこかしらには絶対にないといけないってことね。
アキト ないと寂しくって。
都並 俺はもう気が散るから見なくなった。四人の時とまた変わったかもしれない。悪い意味じゃないけど、本当に視界に入れない方が。気づいたら(アキトが)もう自分のめっちゃ近くに居たりとかもあるけど笑
- 見てないからね笑
ジョニー ぴょんって行ったりするからね。
都並 なんかでもジョニーに対しても対等かもしれない。誰かと盛り上がりたいわけではないから。
アキト でも気持ちを分かってほしいのはね、俺だってびっくりしてる。なんでかっていうと裏切ろうと思って準備して裏切るとそれは裏切りになんないのよ。
- なるほど。じゃいつも自分でびっくりしてるんだね?
アキト びっくりしてる。えーそんなこと喋ってた?こんなライブしてた?あんなアレンジやってた?でもその秒数は短ければ短いほどいい。0.00001なるべく縮めれば縮めるほど喜ぶよ。俺はのちに自分を裏切られたことに。
都並 そうね。三人になってからかもしれないね。アキトのそういうやつをちゃんとやる二人でもないし、暴れ回る二人とジョニーでもないって俺はなんかたぶん無意識のうちに思ってるから、人を無視して何も見なくなった。本当に多分ほとんど見てないですよ。
- 逆にそれぞれのパフォーマンスであるために。
都並 普通の仲間とも思いたくない。
- どっちかに寄っちゃうとつまんなくなっちゃうかもしれないもんね。
アキト 敵と一緒にライブやってんだよ。そんなバンドあんのかよ!
ジョニー 俺も演奏してる時目つぶってる。
全員違う方角を見ながら、結果同じ方向に歩いている
- ジョニーも独特な世界観だからね。白ツナギにグラサンで。だから三人とも別個の世界でね。
ジョニー 三位一体っていう言葉が合うのかはちょっと疑問視してる。
- 確かにそれ面白いよね。みんなが同じ方向ではないじゃない、それがいいんだと思う。アキトくんのこうしたいという設計があって、そこに全力で乗っかって来られたらそれはそれで違うんだろうなっていうさ。
アキト 何だよこれ。もしかしたら本当に三人が違う高校だったら関わりすらないぐらいの..
ジョニー そりゃ絶対そうだと思う。
アキト だからそういうなんだろうね、不思議な縁。
- すごいね。それが今も続いてるんだから。ちゃんとみんな一個の方向を向くことなく、結果同じ方向歩いて20年くらい。
アキト みんな違う方向向いてるのに同じ方向歩いて。それがある意味本当に、遊んでた公園が一緒だった近所のガキみたいなノリなのかもしれない。
- 今作のリリース後こういうことをやっていきたいとかある?
アキト 今回はゴールの日程があってそこに向かって走ったんだけども、次からはそういう制作作業をやりながら活動していこうという感じにはなったね。
- 今後並行して制作と。
アキト 作りながらやって、全て整ったときに「はっけよい、のこった」でね。
- なるほどね。さっき「2本ぐらいまたEP録ってでそっからフルアルバム」って言ってたもんね。めちゃめちゃ楽しみだねフルアルバム。
ジョニー 各EPからピックするっていう風な話であったけど新曲もあったりするんでしょうね。
アキト フルアルバムにしかない新曲ももちろん入れる予定。
- 楽しみだね。
アキト とりあえず目の前の4曲。
- これはもうみんな気に入ってくれる4曲だと思うから、早くみんなに聞いてもらいたい!レーベルとしてはどんな感じで動いていきますかね。第1弾がThree Ring Circusっていうのがあって。
都並 他者が介入した時が初めて整った時だと思うから。
- 「やりたいな」って、「出したいな」みたいなアイデアはたくさんあるからね。友達とかでもさ、「やって欲しいなー」みたいなさ。出来上がるのを待ってる友達とかもいるじゃない。彼らの音源が出来上がったら出したいなっていう。友達のリリースとかね。
都並 正直言ってるだけ感があるから、Three Ring Circusだけだと。
- リリースに困ってる友達とかがいたら全然出せますよぐらいの立ち位置でいたいよね。本当に今回は貴重な時間だったよ。
アキト ちゃんと心から喋ったよ。
都並 めっちゃ喋ってた。
都並 もうなんか音源に対するインタビューじゃないぐらいのボリュームが。
- 長くてもThree Ring Circusってこういうバンドだよっていうのを紹介するべき場所だと思うから。早くみんなに聞いてもらいたいですね!
アキト みんなに聴いてもらいたい。ライブしていい音源作ってさ、みんなのことをチラチラ見てるから。これ良いんじゃないの?って。そうやってずっとやってきたんだから。
- 今作を聴いてみんないい顔してほしいね。本当にありがとうございました!じゃあここでインタビュー終了にします。
全員 ありがとうございました!!
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